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シマアメンボa

先日、皮革造形作家でカタツムリ研究家の河野甲さんが奥様と一緒に、依頼していた「シマアメンボ」♂♀ペアーの納品にうちにお越し下さいました。

シマアメンボと言ってもなかなか聞き慣れないと思いますが、田んぼなどでよく見かける普通の黒っぽい細長いアメンボと違って、胴体は丸く渓流などの流れの速いところに住んでいます。動きは普通のアメンボより遥かに素早く、体長も5mm程(脚含まず)、カラダの色も渓流では目立ちにくいため、気にしなければその存在すら気付かず、ましてや背中にとてもおもしろい模様を持っていることはなかなか知られていないのではないかと思います。





シマアメンボb

このシマアメンボは僕の卒論のテーマでした。研究室に入り込んでいた1年半程はこのシマアメンボの飼育実験をしたり、実態顕微鏡で何時間も観察したりしていました。目の前いっぱいに広がるシマアメンボを見ている中で、神のデザインとも言うべくこの不思議なカタチは長時間見ていても飽きるどころか、どんどん引き込まれる魅力がありました。また、車のボディーや映画に登場するロボットなど、何処かで見たことがある様なディティールを昆虫の体の中に発見しては、いろんなものの「インスピレーションの源」を見た様な気もしました。卒業後は全く生物とはかけ離れた職に就き、たまに思い出したようにクワガタを採りにいく程度で、昆虫からも離れていました。





シマアメンボc

河野さんのことはかなり前に知人に作品集を見せてもらって存じ上げました。昆虫、カタツムリなどを忠実に再現したもの、また、独自のフィルターをかけて部分的におもしろいカタチを再構築したような、謎の生き物がいろいろ載っている作品集を一目見た瞬間に、造形の技術的なとこもさることながら、その題材にすごく惹き付けられて、ついつい知人に「これ、なんですのん!」と声を上げてしまいました。僕にかぎらず、一度でも昆虫や生き物のカタチに惹き付けられた方なら、共感してもらえるのではないかと思います。





シマアメンボd

その後、実際に個展に足を運び、ご本人と作品に間近で触れて自分の昆虫への興味が再燃。改めてやっぱり昆虫っておもしろいよなと実感し、ふとあの「シマアメンボ」の大きなのが居たら、あの、誰も気がつかない独特な模様が特大サイズになったらさぞかしおもしろいだろうなと思い立ち、その思いがだんだんと膨らんで行き、ついに製作の依頼を決めました。

さて、いざ依頼するにあたり雄を作るか雌を作るかという、思っても見ない選択があることに気付きました。雄は少し小振りでシャープな印象を持っていて、雌は少し大きくふっくらした腫れた様な雰囲気を持っています。個人的には雄のシャープな雰囲気が好きなのですが、しかし、雄と雌がいて成り立つのが生物。どちらかを捨てるというのがなかなか出来ずに決め兼ねている中、不意に「両方作って並べる」というとんでもない案が浮かんでしまいました。
費用的にも僕にとってはそんなにお手軽なものでもないので、いくら何でもやりすぎではないかと簡単には踏み切れなかったのですが、それとは裏腹にこれが現実に形になれば今までにないとんでもなく価値のあるものが誕生するという確信があったので、思い切って両方依頼しました。よく嫁が承諾してくれたと思います。





シマアメンボe

いざ完成し、こうやって2匹並べて今となっては、やはり雄か雌どちらかなんて選択をしなくて良かったと思います。良いものに触れることができとても幸せです。









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